富山県のリハビリテーション教育活動

人を育てる人を、
育てる。

患者さんの回復を支えるのは、セラピスト。
そのセラピストを育てるのは、現場の指導者です。
Rehastud(リハスタッド)は、指導者を育てることで
富山のリハビリテーションの質を底上げし、さらにその先へ伸ばします。

いま、リハビリテーションの教育現場が抱える課題

どの職場も人も時間もぎりぎりです。日々の業務はこなせても、そのやり方を言葉にして次の世代へ手渡す余白がありません。 私たちは、現場の課題を次のように整理しています。

指導の属人化

現状
ベテランの判断は、暗黙知と試行錯誤の積み重ねでできています。その多くは、他者に伝わる言葉になっていません。
影響
指導者ごとに教える内容がばらつき、どの先輩につくかで新人の育ち方が変わります。

到達基準のあいまいさ

現状
新人に「論理的な説明」を求めても、何をどこまで話せば十分なのかが共有されていません。
影響
新人は正解探しに追われて萎縮し、指導者は伝わらない徒労感を抱えます。

探究する余白の減少

現状
取得単位数の確保と業務の効率化が進み、患者さんとの対話や同僚との議論の時間が削られています。
影響
「この人はどうすれば良くなるのか」を考える面白さが薄れ、仕事が作業になっていきます。

職種間の連携の乏しさ

現状
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が同じ患者さんを担当していても、見立てや目標、介入の意図を共有する機会は限られています。
影響
それぞれの専門性が掛け合わされず、患者さんの生活全体を見据えた一貫した支援になりにくくなります。新人が他職種の考え方に触れる機会も失われます。

研究を相談できる相手の不足

現状
臨床の疑問を研究にしたいと思っても、研究デザインや統計、先行研究の調べ方を相談できる人が身近にほとんどいません。
影響
臨床での気づきが知見として残らず、発表や論文に挑戦できる人が限られます。県内の臨床の発展が、一部の人の努力に頼ったままになります。

高度な学びの受け皿の不足

現状
職場が担保できるのは、医療として求められる最低ラインまで。大きな団体の研修も、全体の底上げが中心です。
影響
もっと高いスキルを身につけたい人が、県内で学び続けられる場がほとんどありません。

職場の教育を土台に、
施設を越えて学び合う。

新人教育の土台は、それぞれの職場にあります。 安全管理やガイドラインに沿った標準的な臨床を早く確実に身につけることは、各施設の新人教育が担います。

けれど、その教育を担う指導者自身が学び、悩みを相談できる場は、職場の中にはほとんどありません。 Rehastud は、施設を越えて指導者が集い、指導と研究を学び合う場をつくります。 そこで育った指導者が職場に戻り、土台そのものを強くしていきます。

私たちが大切にしている考え方

教育とは、思想を手渡すこと。

知識や手技を教えるだけでは足りません。 「なぜそうするのか」「理学療法士として何を大切にするのか」という行動の原理が、 教える人から教わる人へ受け継がれたとき、教育ははじめて完成します。 学びの場を離れたあとも、自ら学び、現場を良くし続ける人を育てます。

専門性は、思考の速さと、寄り添う力に宿る。

硬いところを伸ばし、弱いところを鍛える。それだけなら誰にでもできます。 専門職の価値は、複雑な状態を瞬時に読み解き、仮説を立て、外れたらすぐ次を試す 試行錯誤の質にあります。 そして「この先どうなるのか」という不安に、根拠ある見通しで何度でも応え続けること。 ときには「ここから先はできない」と誠実に線を引くこと。それがプロの仕事です。

良い理学療法は、患者さんが自分でできるようになること。

セラピストがいなくても、患者さん自身が自分の身体を理解し、課題を解決していける。 そのために、運動療法と並ぶもう一つの柱としてコミュニケーションを位置づけます。 治療の1時間だけでなく、残りの23時間をどうデザインするかまでが臨床力です。

仕事を、遊べ。

限られた時間、道具、ルールの中で、どうすればこの人はもっと良くなるか。 理学療法はそれを追いかけるゲームでもあります。 「やらされる仕事」を「やりたい探究」に変えるマインドを、指導者から新人へ。 楽しむ指導者のもとでこそ、楽しむセラピストが育ちます。

活動内容

収益を目的としない、仲間どうしの学びの場です。参加費は会場費などの実費程度を予定しています。 対象は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士。まずは理学療法士から始め、順次広げていきます。

指導者コホート

新人・若手の指導を担うセラピストが、同じ仲間と1年間かけて「教える力」を磨くプログラムです。自分が実際に行っている指導を題材にし、現場の暗黙知を、教えられる形に変えていきます。

  • 月1回・少人数で、1年をかけて学ぶ
  • 担当している新人の指導事例を持ち寄り、仲間と検討する
  • 新人を「評価」し、強みと到達目標から育成計画を立てる
  • 注意の向け方、切り口の渡し方など「指導の型」を練習する
  • 新人との指導の対話を振り返り、自分の関わり方を見直す
  • 修了時に、自分の「指導の軸」を言葉にして発表する

研究メンタリング

臨床の疑問を研究にしたいセラピストに、研究経験のあるメンバーがメンターとして伴走します。臨床での気づきを、知見として残せる人を増やします。

  • 臨床の疑問を、研究の問いに絞り込む
  • 先行研究の探し方と読み方
  • 研究デザイン・データ収集・統計解析の相談
  • 学会発表・論文化までの伴走

メンターを経験すること自体が、指導者としての成長につながります。修了者が次のメンターとなる循環を目指します。

今後の展開

これから広げていくこと

  • 作業療法士・言語聴覚士への拡大
  • 多職種合同のケース検討
  • 臨床知ライブラリ
  • 分野別の学びの場

職種を越えて一つの症例を囲み、互いの見方を学び合う場や、ベテランの判断の根拠を言葉にして蓄積する取り組みを、活動の広がりに合わせて育てていきます。

Rehastud の指導の原則

指導者コホートで共有するのは、明日から現場で使える「指導の型」です。

  1. 新人を、患者さんのように評価する

    人物像・能力・得意分野・価値観を丁寧に見立て、強みは伸ばし、苦手は周りの力で補う体制をつくる。

  2. 注意の向き先をデザインする

    動作分析中の新人は、注意のほとんどを目の前の課題に使っています。一度に一つ、狙った場所に意識を向けさせる。

  3. 答えではなく、切り口を渡す

    運動学、生理学、運動学習 ― 行き詰まったときに別の見方を差し出し、自分で答えにたどり着く経験をつくる。

  4. 情報源を明らかにさせる

    「自分で考えたこと」「調べたこと」「誰かに聞いたこと」。出どころによって、深め方も確かめ方も変わる。

  5. 質は「到達点」と「速さ」で測る

    標準的な水準を下回る期間をいかに短くするか。早く安心して任せられる人を育てることが、患者さんを守ることになる。

  6. 失敗を、学びの入口にする

    うまくいかないときこそ新しい知識と技術を得るチャンス。学んだことを臨床で試し、「効いた」実感を積み重ねる。

代表メッセージ

「新人が担当すると、患者さんが不利益を被るかもしれない。」

理学療法士になった1年目、私はずっとこの問いを抱えていました。 どうすれば新人が、早くベテランと同じことをできるようになるのか。 ベテランと自分を比べ、知識の量、考え方の順番、手の使い方の違いを記録し続けたことが、 私の教育の原点です。

学生の頃から、医療の質を高めるにはどうすればいいかを、個人・病院・県内・国内という4つの範囲に分けて考えてきました。 臨床技能を磨きながら、技能をもっと効率よく伝えるには、患者さんや職員の意欲を高めるにはどうすればいいかを探究し、 教育学の修士課程に進みました。そこで得た教育とマネジメントの力で、職場の新人教育の仕組みと臨床データベースをつくり、 その後は博士課程で研究手法を学びました。 いま、職場では学会発表や研究に取り組む仲間が増えています。

入職した2013年頃の現場には、患者さんと話し込み、同僚と議論し、 「この人はどうすれば良くなるのか」を試行錯誤する余白がありました。 いまの現場は、効率化の中でその余白を失いつつあります。 効率は大切です。けれど、それだけでは理学療法は面白くならない。

だから私は、指導者を育てたいと考えました。 楽しむことを知っている指導者が一人いれば、その下で何人ものセラピストが育ち、 その先で何百人もの患者さんが支えられます。 県内の仲間とともに、「人を育てる人を、育てる。」 ― 富山から、その循環をつくっていきます。

Rehastud 代表 福元 裕人

富山の神経理学療法の仲間とともに

Rehastud は、県内で神経理学療法に取り組む理学療法士を中心に活動します。 病院・施設で日々患者さんと向き合い、後輩を育てている現場のセラピストたちです。

現場の指導者がつくる

場をつくるのは、県内各施設で臨床と新人指導を担う現役のセラピストです。机上の理論ではなく、明日の現場で使える形で分かち合います。

神経理学療法を起点に

脳卒中をはじめとする神経疾患は、回復期で担当する患者さんの多くを占め、専門性が強く問われる領域です。ここで培った知見を土台に、分野を広げていきます。

施設の垣根を越えて

一つの職場だけでは持ちにくい「比べる視点」や「相談できる仲間」を、施設を越えたつながりを通じて県内の指導者に届けます。

一緒に活動をつくる仲間も募集しています。お問い合わせからご連絡ください。

これからの歩み

  1. 2026年度

    設計

    中心となる仲間とともに、県内の施設・セラピストへヒアリング。指導者コホートと研究メンタリングの内容を設計。

  2. 2027年度

    理学療法士から始動

    理学療法士を対象に、指導者コホート第1期と研究メンタリングを開始。参加者の声をもとに内容を磨き込む。

  3. その先へ

    職種と地域に広げる

    作業療法士・言語聴覚士へ対象を広げる。修了者が次の期の担い手となり、学びが職場から職場へと広がる仕組みへ。

まずは、お気軽にご相談ください。

指導者コホートへの参加、研究の相談、活動への協力など。 「うちの職場でも何かできないか」という段階からご相談いただけます。

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